2400年も前のブロンズ像二体が南イタリアの海底から見つかった。当時の技術の素晴らしさ はおいても、二体の慄然とした実在感に、わたしは久しぶりに体を突き抜けるような戦慄をおぼえた。 ”時”は批評家であり陰謀者でもある。一つの価値観は時代の流れの中でさまざまに変化してゆく。 二千年経ても人の心を慄えさせる力を持つもののみが、時を超えて永遠に生きながらえるものなのだろう。 わたしは今日もこの此岸の世界で”時”との悪戦を繰り返している。 婦人の友 1982年1月号 中村 真木
-1983- cm.100×480×560 横浜/Yokohama,Japan